ネッシー狩りの夜

ヒマだとろくなことをやらない20代ニート。

痛みが引かない

 昨日やったこと。

 洗濯物を干した。

 英語の勉強を少しだけした。

 散歩をした。

 

 今日は病院に行く日だった。

 いわゆるいぼ痔であり、それの治療だった。

 内痔核といって、肛門の痛みを感じないあたりにできた血豆のことを言うらしい。

 普通の人の三人にひとりはいぼ痔を患っていて、それは二足歩行に進化した哺乳類にとって、逃れようのない病らしかった。

 ダーウィンの進化論で云うなら、私たちは猿から進化したわけだが、猿山を見ればわかるように、基本的に彼らは四足歩行である。それが、今の二本足で歩く生物に進化した結果、重力が肛門にかかるようになり、いぼ痔なんかができやすくなったという。

 腰痛も、二足歩行が原因だ。

 

 クレヨンしんちゃんで、いぼ痔の手術についてのエピソードがあったけれど、最近のは切らないで治す。

 ある程度の大きさ以下であれば、血豆の根元をゴムで絞って、普通のイボを取るみたいに腐らせて落とすのだそうだ。

 

 で、今日はその処置をしてきた。

 私にはいぼ痔が三個あるので(珍しくはない)、先週に一個、今週に一個、予定が空いていれば来週あたりに最後の一個に輪ゴムをはめる。

 

 先週にはじめて処置を受けた時点では、まあ痛いっちゃ痛いが、歩けなくなるとかのレベルではなかったので、ちょっと調子に乗っていたのだ。

 

 めちゃくちゃ痛い。

 尻の中の粘膜がどっか切れてるんじゃないかってぐらい痛い。

 歩いていると思わず中腰になる。

 

 ニート、痔の痛みで悶絶するとか、こんなの死んでも死にきれないから、自殺するのはまたの機会にしようと思った。

 

 あんまりにも動けないので、おとなしくお尻にクッションをしいて、『怪物はささやく』という映画のDVDを見た。

 樹齢千年の樹の怪物が、ある男の子のもとを訪れて(というか襲来して)、三つの話を語るというダークファンタジー。そして四つ目の話を、男の子に語れと言うのだ。そしてその話は、「真実」でなければならないと。

 

 てっきりホラーだと思っていたので、ものすごく後味の悪いラストになるんだろうな(昨日『少年は残酷な弓を射る』のDVDを観ていたから余計に)と身構えていたら、最後はかなり泣いた。怖くてとかではなく、感動してだ。

 

 怪物の語る話は、どれも後味の悪い寓話という感じだった。そこだけ水彩風のアニメーションが流れるのだが、たぶん、サウンドホライズンとかの雰囲気が好きな人は好きだと思う。

 

 ちなみに『少年は残酷な弓を射る』は、ある女性の家に赤い液体(おそらく動物か何かの血?)がぶちまけられたところから始まる。女性はその地域の人々から、常に監視されていて、基本的に誰も助けてはくれない。

 どうしてそんな境遇になってしまったのか、というのを、現在と絡めながら少しずつ回想していくという流れになっている。

 掃除が一段階進むたび、回想の時間も一段階進む。

 最後に家が綺麗になったとき、過去も現在へ行きつく。

 だんだん胃が痛くなってくる映画だが、映像がとにかく美しい。ところどころサブリミナルのように混じる「赤」の表現――――トマト祭り、ウォーフォルのスープ缶など――――が、明らかにこの女性の過去で何らかの惨劇が発生したのだと匂わさせてくる。

 映画自体は面白かったけれど、あまり気分が落ち込んでいるときに見るのはお勧めしない。